労務問題
2020.03.23
新型コロナウイルス感染症による小学校休業等対応助成金の最新情報
コロナウイルスに関連した助成金情報
コロナウイルス感染症流行による影響拡大

新型のコロナウイルスが猛威を振るい、世界中で流行しています。 政府は全国の小中高校へ臨時休校を要請し、実際に臨時休校が行われるなど影響は広範囲に広がっております。
また、春のセンバツ高校野球の中止が発表されるなど、コロナウイルスの影響で中止を余儀なくされたイベント等も複数あります。

多くの方が実際にコロナウイルスの影響を受けています。そこで政府はコロナウイルス流行に伴い緊急で助成金の創設を発表しています。実際にどのような助成金があるのかご紹介します。

コロナウイルスに関連した助成金にはどのようなものがあるのか?

3月18日(火曜日)14時現在、コロナウイルスに関連した助成金はこちらになります。

①新型コロナウイルス感染症による小学校休業等対応助成金(正社員、パートアルバイトとして勤務する方向け)
②新型コロナウイルス感染症による小学校休業等対応支援金(委託を受けて個人で仕事をする方向け)
③時間外労働等改善助成金(テレワークコース) ※こちらは令和2年4月1日以降は働き方改革推進支援助成金に名称変更予定となっております。に新型コロナウイルス感染症対策を目的とした取組を行う事業主を支援する特例コースが時限的に設けられる形です。
④時間外労働等改善助成金(職場意識改善特例コース)
⑤雇用調整助成金(コロナウイルス流行により特例措置拡大)

これらの助成金があります。 今回は①の新型コロナウイルス感染症による小学校休業等対応助成金(正社員、パートアルバイトとして勤務する方向け)について次の見出しで詳しく解説していきたいと思います。

新型コロナウイルス感染症による小学校休業等対応助成金について
小学校休業等対応助成金

新型コロナウイルス感染症による小学校休業等対応助成金の正社員・パートアルバイトとして勤務する方向けの助成金について解説をしていきます。
まずは、こちらの助成金の要件をお知らせします。

①新型のコロナウイルス感染症に関する対応として臨時休業等をした小学校等に通う子供
②新型コロナウイルスに感染した又は風邪症状など新型コロナウイルスに感染した恐れのある、小学校等に通う子供

①、②に当てはまる子供の世話を保護者として行っていく必要が出た労働者に対して、労働基準法上の年次有給休暇とは別に有給(賃金全額支給)の休暇を取得させた事業主。 これが助成金の申請の為の要件となります。

助成の内容は・・・令和2年2月27日から3月31日において、有給休暇(法で定められた有給休暇とは別)を取得した対象労働者に支払った賃金相当額×10/10(上限は1日1人あたり8,330円を助成金の上限・大企業と中小企業ともに同様)となります。

臨時休業等、小学校等の定義は?

助成金の申請の検討する段階で「臨時休業等をした」と「小学校等」という言葉の定義が気になるところです。こちらの定義についてもお話しておきます。

まず、「臨時休業等」をしたとは新型のコロナウイルス感染症に関する対応として、小学校等が臨時休業した場合、自治体や放課後児童クラブ、保育所等から可能な範囲で利用を控えるよう依頼があった場合が対象です。 【保護者の自主的な判断】により休ませた場合は対象外となります。(※ただし学校長がコロナウイルスに関連して特別に欠席を認める場合は対象となります)

続いて「小学校等」の定義です。

①小学校、義務教育学校の前期課程、各種学校(幼稚園又は小学校の課程に類する課程を置くものに限る)、特別支援学校(全ての部)
※障害のある子供については、中学校、義務教育学校(後期課程)、高等学校、各種学校(高等学校までの課程に類する課程)等も含む。

②放課後児童クラブ、放課後等デイサービス

③幼稚園、保育所、認定こども園、認可外保育施設、家庭的保育事業等、子どもの一時的な預かり等を行う事業、障害児の通所支援を行う施設等

こちらが小学校等の定義となります。

対象となる保護者と有給休暇の範囲

今回の助成金の対象となる保護者と有給休暇の範囲の詳細についてお話をしていきます。 まず、対象となる保護者についてです。

対象となる保護者・・・親権者、未成年後見人、その他の者(里親、祖父母等)であって、子どもを現に監護する者。その他、各事業主が有給休暇の対象とする場合のみ子どもの世話を一時的に補助する親族も含む。

そして、対象となる有給休暇の範囲、条件についてFAQ形式で説明します。

①就業規則等における規定が特に設けられていなくても助成金の対象になるか?
→就業規則の整備を行う事が望ましいですが、整備されていない場合でも今回の助成金の要件を満たしている場合は対象となります。

②労働者に対して支払う賃金の額はいくらか?
→年次有給休暇を取得した場合に支払う賃金の全額を支払う必要があります。

③半日単位の休暇、時間単位の休暇は対象になるのか?
→対象になります。ただし、「勤務時間の短縮」は所定労働時間そのものの短縮措置となり休暇とは異なる為対象外となりますのでご注意ください。

④元々(子供が)春休みだった期間または土日祝日に取得した休暇は今回の助成金の対象となる?
→こちらは対象となりません。学校の元々の休日以外の日が対象となります。学校以外の施設の場合は本来施設が利用可能な日のみが対象となります。

以上が対象となる保護者と有給休暇の範囲となります。

有給休暇の定義について

今回の助成金は「労働基準法で定められた有給休暇とは別に有給休暇を与えた場合」に助成金の対象となりますが、その有給休暇の定義についてもご説明します。
まず、労働基準法上の年次有給休暇は一定期間以上勤めている労働者には必ず与えなければいけないものとされています。「雇入れの日から6ヶ月間経過して全労働日の8割以上出勤した際に付与しなければいけない」とされているものです。この法で定められた有給休暇を与えても今回の助成金の対象とはなりません。

今回の助成金はコロナウイルス感染症の流行による小学校等の休校に対応する為のものとなりますので、通常与えられるべき年次有給休暇とは別枠でお休みをしてもお給料が全額支払われる日を労働者の方に設けてあげる形になります。

新型コロナウイルス感染症による小学校休業等対応助成金の申請に必要な書類は?
小学校休業等対応助成金の申請に必要な書類

今回、突然小学校等の休業や休校が決まり、あらゆる準備が整っていない事業主様が多いかと思われます。

ただ、今回新型コロナウイルス感染症による小学校休業等対応助成金の申請をお考えの場合は申請書類の準備が必要になります。

まず、対象の労働者の方が雇用保険の被保険者である場合は

1.両立支援等助成金(新型コロナウイルス感染症小学校休業等対応コース)支給申請書(様式第1号①、②)
2.有給休暇取得確認書(様式第2号)
3.支給要件確認申立書(様式第3号)
4.支払方法・受取人住所届(様式第4号)

雇用保険の被保険者でない場合は

1.新型コロナウイルス感染症による小学校休業等対応助成金支給申請書(様式第1号①、②)
2.有給休暇取得確認書(様式第2号)
3.支給要件確認申立書(様式第3号)
4.支払方法・受取人住所届(様式第4号)

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/pageL07_00002.html こちらのリンクの下部に様式第1号~4号のファイルが用意されており、記載例も参照することが出来ます。

これらを記載の上、提出する必要があります。また、その他にも添付書類が必要になります。必要な添付書類は下記の通りです。

①対象の労働者が有給休暇を取得したことが確認できる書類
例:休暇申請書、休暇簿、出勤簿、タイムカード、賃金台帳、就業規則等

②対象労働者の有給休暇について、年次有給休暇の場合と同様の賃金が支払われたことが確認できる書類(賃金台帳等)

③対象労働者の通常の賃金が確認できる書類
例:賃金台帳、労働条件通知書等

④小学校等の臨時休業等により子供の世話を行うための有給休暇を取得した場合、小学校等が臨時休業等したことについて確認できる書類

⑤対象労働者の所定労働日や所定労働時間が確認できる書類
例:労働条件通知書、就業規則、勤務カレンダー等

⑥対象の事業主に雇用されており、申請日時点において1日以上勤務している労働者であることが確認できる書類
例:労働条件通知書に加え出勤簿、タイムカード等

⑦対象労働者のうち、中等教育の課程に在籍する障害のある子供の場合は、当該障害があることを確認できる書類
例:特別支援学校の在学証明書、障害者手帳、医師による診断書等

⑧対象労働者が雇用保険の被保険者でない場合は雇用されていることを確認できる書類
例:労働者名簿、雇用契約書、労働条件通知書、対象労働者の給与振り込みの銀行への依頼データ等

⑨対象事業主が雇用保険適用事業主でない場合は労災保険への加入が確認できる書類
例:労働保険関係成立届の事業主控(労働基準監督署受理済みのもの)、概算保険料申告書

また、これらの書類の準備と共に、シフト制でのご勤務の場合は元々確定をしていたシフト表を保存しておきましょう。
出勤簿、タイムカードの日毎の備考欄に「子供の臨時休校の為休み」などと記入しておくとわかりやすいです。

小学校休業等対応助成金の申請期間・提出先

小学校休業等対応助助成金の申請期間についてですが、令和2年3月18日(水)~6月30日(火)までです。
雇用保険被保険者の方用と雇用保険被保険者以外の方用の2種類の様式があり、事業所単位ではなく法人ごとの申請となります。また、法人内の対象労働者につき1度にまとめて申請する必要があります。

また、申請書類の提出先は本社等の所在地により以下の4つに分かれます。 申請書の提出は、学校等休業助成金・支援金受付センター(厚生労働省の委託事業者) に配達記録が残る形で郵送してください。(特定記録郵便等)

・関東地区 (茨城、栃木、群馬、埼玉、千葉、東京、神奈川)
〒100-8228 東京都千代田区大手町2-6-2 6階662執務室

・東北、関西、四国、中国地区 (青森、岩手、宮城、秋田、山形、福島、三重、滋賀、京都、大阪、兵庫、奈良、和歌山、鳥取、 島根、岡山、広島、山口、徳島、香川、愛媛、高知)
〒105-0014 東京都港区芝2-28-8 芝二丁目ビル4階

・北陸、中部、九州・沖縄地区 (新潟、富山、石川、福井、山梨、長野、岐阜、静岡、愛知、福岡、佐賀、長崎、熊本、大分、 宮崎、鹿児島、沖縄)
〒176-6025 東京都豊島区東池袋3-1-1サンシャイン60 25階

・北海道地区
〒550-8798 大阪西郵便局私書箱62号

小学校休業等対応助成金について不明な点がある場合

こちらの助成金に関して不明な点がある場合は下記のコールセンターへ電話で聞くこともできます。

<問い合わせ先>  学校等休業助成金・支援金等相談コールセンター  電話:0120-60-3999  受付時間:9:00~21:00(土日・祝日含む)

また、こちらの助成金に関して詳しい話を聞きたい場合、社会保険労務士に相談をしてみるのも一つの手です。

田治米 洋平
特定社会保険労務士 (全国社会保険労務士会連合会 登録番号13060418)
1980年大阪生まれ。同志社大学卒業。IT企業勤務を経て、2006年たじめ労働法務事務所を創業。2013年青山学院大学大学院修了。「ゲーム開発企業における専門業務型裁量労働制の法的問題と実務的課題」優秀賞受賞。2017年、社会保険労務士法人たじめ事務所へ組織変更、代表社員就任。
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