パートやアルバイトなどの厚生年金加入 企業規模要件を撤廃へ 
2024.06.27
厚生労働省は、パートら短時間労働者の厚生年金加入を拡大するため、勤務先の従業員数が101人以上(10月からは51人以上)と定めている「企業規模要件」を撤廃する方針を固めました。職場の従業員数にかかわらず厚生年金に加入できるようにし、将来受け取る年金額を手厚くする狙いです。対象は約130万人に上るとみられるとのこと。関係者が26日に明らかにしました。

厚労省の有識者懇談会が、企業規模要件に関し「撤廃の方向で検討を進めるべきである」と明記した報告書を7月1日に取りまとめ、これを踏まえて、厚労省が施行時期を検討し、2025年通常国会に関連法改正案の提出を目指すことになります。

現在、短時間労働者が厚生年金に加入するには、企業規模に加え(1)週の労働時間が20時間以上(2)月給8万8千円以上、といった要件を全て満たす必要があります。これらのうち企業規模の撤廃を優先します。厚生年金の保険料は労使折半となっているため、加入拡大に伴い企業側の新たな費用や事務作業が増えるため、中小企業への支援策も検討していく方針です。
また、個人事業所で働く人の厚生年金加入も推進させる方針。現在は従業員5人以上の「金融・保険」など17業種に限り加入義務が生じていますが、これを宿泊業や飲食業にも拡大する方向で調整。対象人数は約30万人を見込んでいます。


去年の合計特殊出生率 1.20 過去最低を更新
2024.06.18
厚生労働省は、2023年の「人口動態統計」の概数を、6月5日に公表しました。
それによりますと、1人の女性が一生のうちに産む子どもの数の指標となる「合計特殊出生率」は1.20となり、統計を取り始めて以降最も低くなったことが分かりました。2022年の確定値と比べると0.06ポイント低下していて、8年連続で前の年を下回りました。

2023年1年間に生まれた日本人の子どもの数は72万7277人で、2022年より4万3482人減少し、1899年に統計を取り始めて以降、最も少なくなりました。
一方、死亡した人の数は157万5936人と、2022年より6886人増加し、統計を取り始めて以降、最も多くなりました。
このほか結婚の件数は2023年は47万4717組と、2022年より3万213組減少し、戦後、最も少なくなりました。

厚生労働省は「少子化の進行は危機的で、若年人口が急激に減少する2030年代に入るまでの6年間に少子化の傾向に歯止めをかけることが極めて重要。厚生労働省としても昨年末に取りまとめられた「こども未来戦略」に基づき、必要な取組を加速化していくつもりです。少子化の要因には、経済的な不安定さや仕事と子育ての両立の難しさなどが絡み合っているので、男性の育休の取得、育児期を通じた柔軟な働き方の推進、そして若い世代の所得向上など、少子化対策を確実に実行していき、極めて深刻な少子化の傾向に歯止めをかけるために全力を尽くして取り組んでいきたいと思います。」としています。


改正子ども・子育て支援法が可決・成立しました
2024.06.10
2024年6月5日の参院本会議において、「子ども・子育て支援法等の一部を改正する法律案」が可決・成立しました。

改正法は、児童手当の所得制限を撤廃し、支給対象を高校生年代まで広げるのに加え、第3子以降は月3万円に倍増。また、働いていなくても子どもを保育園などに預けられる「こども誰でも通園制度」の導入や、育児休業給付の拡充などが盛り込まれています。

そして財源を確保するため、公的医療保険に上乗せして国民や企業から集める「支援金制度」を創設し、2026年度から段階的に運用を始めるとしています。
政府の試算では、子どもなど扶養されている人を含めた医療保険の加入者全体では、1人当たりの平均月額が2026年度で250円、2027年度で350円、2028年度で450円としています。 ただし、実際の金額は被用者保険の種類や年収等によって異なります。

このほか、家族の介護や世話などをしている子どもたち、いわゆる「ヤングケアラー」についても、国や自治体による支援の対象とすることを明記し、対応を強化していくとしています。




失業給付面談 来年からオンライン可能に
2024.06.04
厚生労働省は、労働政策審議会(厚労相の諮問機関)の部会を開き、障害者や介護・育児中の人らを対象に、来年から雇用保険の失業給付を受け取るのに必要な面談を全国でオンライン化する方針を決めました。

現在失業給付を受け取るには、失業認定日にハローワークに直接出向いて面談を受け、求職活動の状況などを確認するため原則4週間に1度、来所する必要があります。 こうした中、面談に出向くのが難しい人たちの利便性を高めようと、去年7月から全国9か所のハローワークで試験的にオンライン面談が行われており、2025年1月からは全国に拡大することになります。
対象は「子育て中の人」「介護中の人」「障害がある人」「自宅とハローワークの間の移動に往復4時間以上かかる人」などとしています。

厚生労働省は今後、利用者向けのマニュアルを作成し、来年1月から全国で運用を始める方針です。


改正育児・介護休業法が成立しました
2024.05.27
改正育児・介護休業法が2024年5月24日の参議院本会議で可決・成立しました。

今回改正法では、3歳から小学校に入学するまでの子どもを持つ親を対象に、始業時間の変更やテレワーク、短時間勤務、新たな休暇の付与などの選択的措置の実施を義務づけ、残業の免除対象を小学校に入学するまでの子ども(現行は3歳になるまでの子ども)を持つ親にも広げることが盛り込まれています。
また、子どもの「看護休暇」の取得を入学式などの行事への参加でもできるようにし、対象を小学3年生(現行は小学校就学前)まで拡大するとしています。

このほか、育児休業の取得状況の公表義務を、これまでの「従業員が1000人を超える企業」から「300人を超える企業」に広げます。

一方、介護との両立に関しては、支援制度を利用せずに離職に至るケースが多いことから、企業に対し、家族の介護が必要となった従業員に介護休業などの制度を周知し、取得の意向を確認すること、さらに、介護に直面していない従業員にも早めに制度を周知することなどを義務づけるとしています。

施行日は、ほとんどが 2025年4月1日(一部が公布日から起算して1年6か月を超えない範囲内で政令で定める日)ですが、今から準備をしておくとよいでしょう。




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