2026年度最低賃金が確定 関東は10月1日から順次発効
2026.09.04
厚生労働省は2026年9月3日、2026年度の地域別最低賃金の答申状況を公表しました。全国加重平均は1,177円(前年度1,121円から56円の引き上げ)となり、引き上げ額は過去2番目の水準です。中央最低賃金審議会が示した目安額を上回る改定を行った地域は33府県に上りました。

関東各都県の改定額と発効日(予定)は以下の通りです。
・東京 1,280円(+54円) 10月1日
・神奈川 1,279円(+54円) 10月1日
・埼玉 1,196円(+55円) 10月1日
・千葉 1,195円(+55円) 10月1日
・茨城 1,136円(+62円) 10月18日
・栃木 1,125円(+57円) 10月1日
・群馬 1,120円(+57円) 10月3日
・山梨 1,113円(+61円) 11月1日

まず注意が必要なのは、事業場が複数の都県にまたがる場合です。最低賃金は事業場の所在地で判断するため、本社が東京でも、埼玉の支店で働く従業員には埼玉の額が適用されます。今年度は金額だけでなく発効日も都県ごとに異なり、茨城は10月18日、群馬は10月3日、山梨は11月1日と分かれています。同じ関東でも改定のタイミングがずれるため、拠点ごとに適用開始日を整理しておく必要があります。全国に拠点がある場合は、熊本・岩手・沖縄が12月と大きく遅れる点にもご注意ください。

もう一点、見落とされやすいのが固定残業代(みなし残業代)を採用している場合です。最低賃金の比較では、時間外・休日・深夜の割増賃金は算入できません。基本給20万円+固定残業代5万円という賃金構成であれば、最低賃金と比較するのは基本給20万円のみです。これを所定労働時間で割り戻した額が改定後の最低賃金を下回っていないか確認が必要です。月給制の社員は対象外と考えられがちですが、固定残業代の比率が高い場合や所定労働時間が長い職場では、実際に下回るケースがあります。

なお、通勤手当・家族手当・精皆勤手当・賞与も同様に最低賃金の計算からは除外されます。

自社の賃金構成が改定後の最低賃金を満たしているかの確認や、拠点別の適用スケジュールの整理については、お気軽にご相談ください。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_75950.html
残業月45時間の一律指導を見直し 健康確保措置の実施状況を重点確認へ
2026.08.21
厚生労働省は2026年8月19日、「時間外労働等に係る相談・支援及び監督指導を見直します」を公表しました。令和8年9月1日から、全国の労働基準監督署および働き方改革推進支援センターの運用が変わります。

これまで労基署は、特別条項付き36協定により月100時間未満まで時間外労働が可能な事業場に対しても、一律に「月45時間以内に削減するよう」求める指導を行ってきました。9月以降は、時間外・休日労働時間数のみに着目した一律指導を見直し、各事業場が36協定で定める健康・福祉確保措置の実施状況を重点的に確認する運用に変わります。

ここで誤解されやすい点ですが、労働基準法の上限規制そのものは一切変わっていません。月45時間・年360時間の原則も、特別条項使用時の月100時間未満・年720時間以内・複数月平均80時間以内・年6回までという上限も従来どおりです。また、過重労働による健康障害のおそれが高い事業場には引き続き必要な指導が行われます。変わるのは「労基署が何を重点的に見るか」です。

企業側として、今のうちに確認しておきたいのは以下の点です。
・自社の36協定でどの健康・福祉確保措置を定めたかの確認:協定届の該当欄に記載があります。医師の面接指導、深夜業の回数制限、勤務間インターバル、代償休日・特別休暇の付与、健康診断、連続休暇、相談窓口の設置、配置転換、産業医等による助言指導の9項目から選択する形式です
・定めた措置が実際に実施されているかの点検:今後はここが重点確認の対象になります。協定に書いてあるが実施実績がない、という状態が最もリスクの高い状況です
・実施記録の整備:面接指導の実施記録、インターバルの取得状況など、実施を説明できる資料を残しておきましょう

なお、9月から働き方改革推進支援センターに36協定・特別条項・柔軟な労働時間制度に関する専門相談窓口が設置され、労基署とのチームによる訪問支援も始まります。いずれも無料で利用できます。

一律指導がなくなることで、実務上はむしろ「協定で定めた措置を本当に運用しているか」が問われることになります。36協定の内容確認や健康確保措置の運用整備については、お気軽にご相談ください。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_75454.html
マイナポータルとデジタル認証が統合「マイナアプリ」8月25日提供開始
2026.08.06
デジタル庁は2026年7月28日、マイナンバーカードによる本人確認に対応した「マイナアプリ」を、2026年8月25日に提供開始する予定と発表しました。現行のマイナポータルアプリに、官民で導入が進むデジタル認証アプリの仕組みを統合したもので、ひとつのアプリで各種サービスへの本人確認が完結できるようになります。

主なポイントは以下の通りです。
・アプリストア上で現行のマイナポータルアプリが「マイナアプリ」に名称変更され、アップデートによって利用開始できます。新たなアプリのインストールは不要です
・デジタル認証アプリの利用者は、認証・署名時やアプリ起動時にマイナアプリへ誘導される仕組みです
・初回利用時は、マイナンバーカードを使った利用登録が必要です
・スマートフォンの端末ロック(PIN・顔認証・指紋認証等)の設定が必須で、未設定の場合はアプリを利用できません
・提供開始日は最終テストの結果により変更となる可能性があります

人事・労務の実務では、電子申請の際の本人確認や、従業員自身がマイナポータルで年金記録・医療費情報等を確認する場面で関わってきます。特に年末調整の電子化を進めている企業では、控除証明書等のデータをマイナポータル経由で取得する運用をされているケースもあり、従業員から問い合わせを受ける可能性があります。

差し当たり企業側で必要な対応はありませんが、8月25日以降、従業員から「アプリの名前が変わった」「使えなくなった」といった問い合わせが想定されます。端末ロックの設定が必須である点は特に見落とされやすいため、社内案内に一言添えておくとよいでしょう。年末調整の電子化やマイナンバーの取扱いについては、お気軽にご相談ください。
https://services.digital.go.jp/mynaapp/news/20260728-01/
2026年度最低賃金の引き上げ目安は55円、全国平均1,176円へ
2026.07.30
中央最低賃金審議会の小委員会は2026年7月28日、今年度の最低賃金引き上げ額の目安を全国加重平均で55円(4.9%)と決定しました。今後、各都道府県の審議会で目安通りに改定されれば、全国加重平均は現在の1,121円から1,176円に引き上げられます。引き上げ幅は昨年度の63円(6.0%)を下回りましたが、金額ベースでは過去2番目の大きさとなります。

都道府県のランク別目安はAランク(東京など6都府県)が54円、BランクとCランク(その他道府県)が56円です。例年8月中に各都道府県の答申がまとまり、10月初旬から順次発効となる見込みです。

10月の改定に向けて、以下の準備を進めておくとよいでしょう。
・適用される最低賃金の確認:最低賃金は事業場の所在地で判断します。支店や店舗が複数の都道府県にある場合は、エリアごとに金額も発効日も異なりますので、それぞれ確認が必要です
・アルバイト・パートの時給確認:時給が改定後の最低賃金を下回らないか確認し、必要であれば引き上げます
・月給制社員の時給換算:見落とされがちですが、月給制の社員も所定労働時間で割り戻した額が最低賃金を上回っているか確認が必要です。特に所定労働時間が長い職場や、基本給が低く各種手当で補っている場合は注意が必要です。なお、割り戻しの計算では通勤手当・家族手当・精皆勤手当・時間外手当等は除外して判断します
・改定後の周知:時給を変更した場合は、対象者へ改定内容を書面等で伝えておくと後々のトラブル防止になります

最低賃金違反は、知らなかった場合でも50万円以下の罰金の対象となります。月給制社員の時給換算など、ご不明な点はお気軽にご相談ください。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_74920.html
期限切れ保険証の暫定措置、7月末で終了
2026.06.22
厚生労働省は2026年6月18日の社会保障審議会医療保険部会で、有効期限切れの健康保険証を持参した場合でも保険診療を受けられる暫定措置を、2026年7月末で終了させる方針を明らかにしました。8月以降は「マイナ保険証」または「資格確認書」での受診が必須となります。

従来の健康保険証は2025年12月1日に有効期限が切れており、それ以降はマイナ保険証か資格確認書での受診が原則とされていました。しかし、医療現場の混乱を避けるため、被保険者番号等で資格確認ができる場合は3割等の窓口負担で受診を認める暫定措置が続けられてきました。2026年4月時点のマイナ保険証利用率は68.15%まで上昇しており、これを踏まえての終了判断となります。

社会保険労務士法人 たじめ事務所 TEL.03-3511-0345(平日 10:00~18:00)アクセス