日本年金機構が今年の算定基礎届の情報を公開しました
2023.05.24
社会保険(健康保険・厚生年金保険)では、標準報酬月額が、実際の報酬(給与)と大きくかけ離れないように、年に1回、定時決定として4月から6月に被保険者に支給された報酬(給与)を日本年金機構に届け出ることになっています。このときの様式が「健康保険・厚生年金保険 被保険者報酬月額算定基礎届」であり、通常、この業務を「算定基礎」と呼んでいます。
今年も算定基礎届の提出時期が近づいたことから、日本年金機構が算定基礎届の情報を更新しました。

案内では、これまでコロナ禍で見送りされていた会場での算定基礎届事務講習会が実施されることになっており、また、算定基礎届の記入にかかる基本的な事項から具体的事例、提出方法等についての説明動画が公開されています。
「算定基礎届の記入・提出ガイドブック」も令和5年度に更新されています。

実際の処理は、6月の給与が支給された後からになりますが、1年に1回の処理になるため、早めに動画やガイドブックで内容を確認しておくとよいでしょう。

参考リンク
日本年金機構「【事業主の皆さまへ】令和5年度の算定基礎届のご提出について」
https://www.nenkin.go.jp/oshirase/taisetu/2023/202305/0519.html 
令和5年度算定基礎届事務説明【動画】
https://www.nenkin.go.jp/service/kounen/hokenryo/hoshu/santeisetsumei.html
算定基礎届の記入・提出ガイドブック 令和5年度
https://www.nenkin.go.jp/service/kounen/hokenryo/hoshu/20121017.files/santei.guide.book.pdf


2023年4月より雇用保険の特定理由離職者の範囲が拡大されました
2023.05.15
会社を退職した雇用保険の被保険者のうち、一定の条件を満たした人は、雇用保険から基本手当を中心とした求職者給付が支給されます。この求職者給付を受給する際には、その退職者の離職理由によって支給開始までの期間や支給される金額が変わることがあります。今回、2023年4月1日以降に退職した人について、特定理由離職者の範囲に以下の項目が追加されました。

追加された項目は、配偶者から身体に対する暴力またはこれに準ずる心身に有害な影響を及ぼす言動を受け、加害配偶者との同居を避けるため住所又は居所を移転したことにより離職した人です。
配偶者には、婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含みます。

対象となるには、裁判所が発行する配偶者暴力防止法第10条に基づく保護命令に係る書類の写しまたは婦人相談所等が発行する配偶者からの暴力の被害者の保護に関する証明書の発行が確認できることが必要です。
また、住所または居所を移転したことの確認は、住民票(住民票記載事項証明書)や運転免許証、マイナンバーカード、その他(転居前、転居後の住所と転居した日がわかる書類)の書類の提出することになります。

東京労働局のホームページには、ハローワークに提出する「配偶者からの暴力の被害者の保護に関する証明書」も掲載されています。万が一の事態に備えて確認しておくとよいでしょう。

参考リンク
東京労働局「配偶者から暴力を受け、加害配偶者との同居を避けるため転居したことにより離職された方の取扱いについてお知らせします。」
https://jsite.mhlw.go.jp/tokyo-roudoukyoku/newpage_00999.html

技能実習の廃止 中間報告書を提出
2023.05.12
外国人労働者の受け入れを話し合う政府の有識者会議は、国際貢献の名目で外国人の人材育成を行ってきた「技能実習制度」を廃止し、「新たな制度」の創設を求める中間報告書を法務大臣に提出しました。

労働力として明記した上で転籍の要件を緩和し、人権侵害が指摘された実習制度の改善を図ります。

また、政府は今月、熟練労働者として永住や家族帯同が認められる「特定技能2号」の受け入れ対象を大幅に拡大し、2分野から11分野とする方針も明らかにしています。

人手不足の深刻化を背景に、人権に配慮した上で受け入れを進め、技能を習得した外国人材の中長期的な就労を促す狙いがあります。技能実習は、途上国に技術を伝える「国際貢献」を目的に1993年創設されましたが、実態は労働力の確保策として機能。賃金未払いなどの労働問題や暴力・パワハラが後を絶たず、国内外で批判が高まっていました。

新制度でも実習生の受け入れを仲介する送り出し機関や監理団体、受け入れ先の監督や実習生支援を担う外国人技能実習機構は維持される見通しです。今後、事業者の要件厳格化や実習機構の体制強化を検討し、秋ごろに最終報告をまとめる予定です。

新型コロナに係る傷病手当金 申請期間の初日が2023年5月8日以降は医師の証明が必要になります
2023.05.10
業務外の事由で、新型コロナウイルス感染症(以下、「新型コロナ」という)に罹患し、労務不能となったときには、健康保険の傷病手当金が請求できます。新型コロナが2類相当から5類に移行されたことから、この傷病手当金の証明に係る取扱いが変更になりました。

新型コロナに係る傷病手当金については、臨時的な取扱いとして、療養担当者意見欄(申請書4ページ目)の証明の添付が不要とされていましたが、今回の5類に移行したことにより、申請期間(療養のため休んだ期間)の初日が2023年5月8日以降の傷病手当金の支給申請については、他の傷病による支給申請と同様に、傷病手当金支給申請書の療養担当者意見欄(申請書4ページ目)に医師の証明が必要と変更になりました。

新型コロナに係る傷病手当金は、自覚症状の有無を問わず、被保険者が新型コロナウイルス「陽性」と判定され、療養のため労務に服することができない場合は申請ができますが、従業員本人に自覚症状がなく、家族等が感染し濃厚接触者になった場合は、従業員自身が労務不能と認められない限り、傷病手当金の対象とはなりません。

傷病手当金を申請する際には、申請に必要な情報がそろっているかを漏れなく確認しましょう。

参考リンク
協会けんぽ「新型コロナウイルス感染症に係る傷病手当金の申請について」
https://www.kyoukaikenpo.or.jp/event/cat550/covid_19/shinsei/

裁量労働制の導入・継続には新たな手続きが必要です(令和6年4月施行) 厚労省がリーフレットを公表
2023.04.24
裁量労働制については、「労働基準法施行規則及び労働時間等の設定の改善に関する特別措置法施行規則の一部を改正する省令(令和5年厚生労働省令第39号)」及び「労働基準法第38条の4第1項の規定により同項第1号の業務に従事する労働者の適正な労働条件の確保を図るための指針及び労働基準法施行規則第24条の2の2第2項第6号の規定に基づき厚生労働大臣の指定する業務の一部を改正する告示(令和5年厚生労働省告示第115号)」により改正が行われました。
これらの改正省令及び改正告示は、令和6年4月1日から施行・適用されます。

この改正に伴い、厚生労働省よりリーフレット「裁量労働制の導入・継続には新たな手続きが必要です」が公開されました。2024年4月1日以降、裁量労働制を導入・継続する際は、新しい手続きが必要になります。

施行・適用は少し先ですが、専門業務型でも個人の同意が求められるなど、一定の影響が予想される改正となっていますので、既に裁量労働制を導入している企業、そして今後の導入を検討している企業のみなさんは、早めにこのリーフレットを確認しておくとよいでしょう。

参考リンク
厚生労働省「裁量労働制の概要」   https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/roudouzikan/sairyo.html
リーフレット  https://www.mhlw.go.jp/content/001080850.pdf


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