2023年4月から始まる賃金のデジタル払いとその留意点について
2023.03.07
以前から取り上げてきたように、いよいよ2023年4月から賃金のデジタル払いが始まります。この賃金のデジタル払いは、給与を●●payなどで支払うことができるようになるものです。この件に関し、先日、厚生労働省より周知用のリーフレットが公開されました。

このリーフレットには、今後の賃金のデジタル払いに関する流れや、デジタル払いをする際の注意点、万が一の場合として、不正取引が起きたり、業者が破綻したりした場合の対応について記載されています。そのポイントは以下のとおりです。

1.デジタル払い開始までの流れ
・2023年4月
 資金移動業者が厚生労働大臣に指定申請、厚生労働省で審査
・厚生労働大臣の指定後
 各事業場で賃金のデジタル払いに係る労使協定を締結
・労使協定締結後
 個々の労働者に説明し、労働者が同意した場合には賃金のデジタル払い開始

2.主な注意点
・現金化できないポイントや仮想通貨での賃金支払いは認められません
・現在の賃金支払い・受け取り方法の変更が必須となるわけではありません
・労働者が希望しない場合は、これまでどおりの方法での賃金の支払いとなります
・事業主は希望しない労働者に賃金のデジタル払いを強要することはできません

3.運用におけるポイント
・事前に労使協定を締結することが必要です
・賃金をデジタル払いで受け取る際の受取額は適切に設定をすること
・口座の上限額は100万円以下の設定となります
・デジタル払いで受け取った賃金を現金化することも可能です
 ※月1回は口座からの払い出し手数料なし
・口座残高の払い戻し期限は少なくとも10年間となります

4.万が一の場合の対応
・不正取引(心当たりのない出金など)が起きた場合
 口座所有者に過失がないときは損失額全額が補償されるが、労働者に過失があるときの保証については個別のケースによります。
 また、損失発生日から少なくとも30日以上の通知期間が設定されているので、不正取引があった場合には速やかに指定資金移動業者へ問い合わせてください。
・業者が破綻した場合
 指定資金移動業者が破綻したときには、保証機関から弁済が行われます。

  今後、賃金のデジタル払いを希望する従業員が出てくるかもしれません。実際にデジタル払いをするときには多くの留意点があることをあらかじめ確認しておきましょう。

  リーフレットのダウンロードはこちらから
https://www.mhlw.go.jp/content/11200000/001065931.pdf

参考リンク
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/zigyonushi/shienjigyou/03_00028.html

障害者の法定雇用率 段階的な引上げが正式決定しました
2023.03.03
2023年度は障害者の法定雇用率の見直しのタイミングになります。厚生労働省の労働政策審議会で審議が行われていましたが、今回法令改正により段階的な引き上げが正式に決定しました。
この障害者の法定雇用率の引き上げも含め、以下が今後障害者雇用に関するポイントになります。

1.障害者の法定雇用率が段階的な引き上げ
民間企業の法定雇用率は、2024年4月から2.5%に、2026年7月2.7%になります。

2.除外率の引き下げ
除外率が、2025年4月1日から除外率設定業種ごとにそれぞれ10%引き下げられます。(現在除外率が10%以下の業種は除外率制度の対象外となります)

3.障害者雇用における障害者の算定方法の変更
・精神障害者の算定特例の延長(2023年4月)
週所定労働時間が20時間以上30時間未満の精神障害者について、当分の間、雇用率上、雇入れからの期間等に関係なく、1カウントとして算定できるようになります。
・一部の週所定労働時間20時間未満の障害者の雇用率への算定(2024年4月)
週所定労働時間が10時間以上20時間未満の精神障害者、重度身体障害者及び重度知的障害者について、雇用率上、0.5カウントとして算定できるようになります。

4.障害者雇用のための事業主支援が強化(助成金の新設・拡充)(2024年4月)
・雇入れやその雇用継続に関する相談支援、加齢に伴う課題に対応する助成金が新設されます
・既存の障害者雇用関係の助成金が拡充されます

厚生労働省からはすでにリーフレットが公開されています。
法定雇用率の引き上げ自体はまだ1年以上先ですが、今回の改正内容は早めに押さえておくとよいでしょう。

「障害者の法定雇用率引上げと支援策の強化について」のリーフレット
https://www.mhlw.go.jp/content/001064502.pdf

2023年2月27日から1年単位変形労働時間制協定届の本社一括届出ができるようになりました
2023.02.28
一年単位の変形労働時間制に関する協定届は、事業場単位でそれぞれの所在地を管轄する労働基準監督署に届け出る必要がありますが、令和5年2月27日から、次の条件を満たす場合には、36協定届や就業規則届と同様に、本社において各事業場の協定届を一括して本社を管轄する労働基準監督署に届け出ることが可能となりました。

【本社一括届出が可能な要件】

■電子申請による届出であること

■以下の項目の記載内容が同一であること
▪対象期間及び特定期間(起算日)
▪対象期間中の各日及び各週の労働時間並びに所定休日
▪対象期間中の1週間の平均労働時間数
▪協定の有効期間
▪労働時間が最も長い日の労働時間数(満18歳未満の者)
▪労働時間が最も長い週の労働時間数(満18歳未満の者)
▪対象期間中の総労働日数
▪労働時間が48時間を超える週の最長連続週数
▪対象期間中の最も長い連続労働日数
▪対象期間中の労働時間が48時間を超える週数
▪特定期間中の最も長い連続労働日数
▪使用者の職名及び氏名
▪旧協定の内容

■ 事業場ごとに記載内容が異なる以下の項目については、厚生労働省HPまたはe-Govの申請ページからExcelファイル「一括届出事業場一覧作成ツール」をダウンロードし、内容を記入して添付すること

▪事業の種類
▪事業の名称
▪事業の所在地
▪常時使用する労働者
▪該当労働者数
▪協定当事者・協定成立年月日
▪管轄労働局
▪所轄労働基準監督署
参考リンク
https://www.mhlw.go.jp/content/11200000/001063431.pdf

弊所代表のインタビューが掲載されました
2023.02.17
マネーフォワードに弊所代表のインタビュー記事が掲載されました。お時間のある方はぜひご覧ください。
https://biz.moneyforward.com/blog/50505/
令和5年度の雇用保険料率が公表されました
2023.02.10
雇用保険料率は、毎年度、雇用保険財政の状況を踏まえて決定されることになっています。物価上昇等もある中で来年度(令和5年度)の雇用保険料率がどうなるか関心が高まっていましたが、厚生労働省から令和5年度雇用保険料率のリーフレットが公開されました。

・失業等給付等の保険料率は、労働者負担・事業主負担ともに6/1,000に引き上げ(農林水産・清酒製造の事業および建設の事業は7/1,000に引き上げ)。
・雇用保険二事業の保険料率(事業主のみ負担)は、引き続き3.5/1,000のまま(建設の事業は4.5/1,000)。

労働者負担・事業主負担ともに負担が大きくなります。従業員にも早めに案内しましょう。



社会保険労務士法人 たじめ事務所 TEL.03-3511-0345(平日 10:00~18:00)アクセス