改定の行方が注目される地域別最低賃金について、2024年度も大幅な引き上げが見込まれることが分かりました。
厚生労働省の特設サイトなどによると、最低賃金は、最低賃金審議会で、賃金の実態調査結果などを参考にしながら審議され、①労働者の生計費、②労働者の賃金、③通常の事業の賃金支払能力を考慮して毎年、改定されています。
最低賃金には、産業に関わりなく地域内のすべての労働者に適用される「地域別最低賃金」と、特定の産業に働く労働者に適用される「特定最低賃金」の2種類があります。
1978年度から地域別最低賃金の整合性を図るため、中央最低賃金審議会が毎年、地域別最低賃金額改定の「目安」を作り、地方最低賃金審議会へ提示しています。
2024年度(令和6年度)の地域別最低賃金額改定の目安については、正式に中央最低賃金審議会から厚生労働大臣に対して答申が行われ、ランクに関係なく、全国一律で50円とされれました。消費者物価の上昇などを重視した結果だといいます。
もし目安どおりに各都道府県で引上げが行われた場合の全国加重平均は1,054円となります。この場合、全国加重平均の上昇額は50円(昨年度は43円)となり、1978度に目安制度が始まって以降で最高額となります。また、引上げ率に換算すると5.0%(昨年度は4.5%)となります。
これまで政府が目標としてきた「全国加重平均で時給1,000円以上の達成」はすでに2023年度に達成されましたが、都道府県ごとで見ると、依然として1,000円を下回るところも少なくありません。賃金額の地域間格差は、地方部から都市部へ労働力流出、地方の中小企業・小規模事業者の事業継続・発展の困難に拍車をかける一因となることから、地方における最低賃金の底上げは引き続き課題となりそうです。
参考リンク
中央最低賃金審議会「令和6年度地域別最低賃金額改定の目安について(答申)」
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_41785.html