令和5年度の地域別最低賃金 全都道府県公示されました
2023.09.15
最低賃金が改定されます。
最低賃金額については、答申から変更はありませんでしたが、発効月日について石川県が10月4日から10月8日に後ろ倒しになっています。
最終的な都道府県の令和5年度地域別最低賃金額及び発効年月日は、表でご確認ください。

参考リンク:
厚生労働省「地域別最低賃金の全国一覧」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/minimumichiran/index.html

2023年9月1日付けで心理的負荷による精神障害の労災認定基準が改正されました
2023.09.04
厚生労働省は「心理的負荷による精神障害の認定基準」を改正し、2023年9月1日付で厚生労働省労働基準局長から都道府県労働局長宛てに通知しました。

この改正は、近年の社会情勢の変化等に鑑み、最新の医学的知見を踏まえて「精神障害の労災認定の基準に関する専門検討会」において検討を行い、今年7月に報告書が取りまとめられたことを受けたものです。
ポイントは次の通りです。

①業務による心理的負荷評価表の見直し
・具体的出来事「顧客や取引先、施設利用者等から著しい迷惑行為を受けた」(いわゆるカスタマーハラスメント)を追加
・具体的出来事「感染症等の病気や事故の危険性が高い業務に従事した」を追加
・心理的負荷の強度が「強」「中」「弱」となる具体例を拡充(パワーハラスメントの6類型すべての具体例の明記等)

②精神障害の悪化の業務起因性が認められる範囲を見直し
・悪化前おおむね6か月以内に「特別な出来事」がない場合でも、「業務による強い心理的負荷」により悪化したときには、悪化した部分について業務起因性を認める

③医学意見の収集方法を効率化
・専門医3名の合議により決定していた事案について、特に困難なものを除き1名の意見で決定できるよう変更

この改正により、実際に発生した業務による出来事を、業務による心理的負荷評価表の「具体的出来事」に当てはめ負荷(ストレス)の強さを評価するという要素が強くなります。実務においては、こうした負荷が精神障害の原因になるリスクが高いという認識に基づき、職場環境の整備を行っていきましょう。

参考リンク
厚生労働省「心理的負荷による精神障害の労災認定基準を改正しました」
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_34888.html 



令和5年度の最低賃金 全国加重平均額43円引上げで1004円の見込みとなります
2023.08.22
厚生労働省は18日、全国の都道府県労働局に設置されている地方最低賃金審議会が答申した令和5年度の地域別最低賃金の改定額(以下「改定額」)を取りまとめ、改定額と発効予定年月日を公表しました。

その結果、答申での全国加重平均額は、審議会の目安を上回り、昨年度から43円引上げの全国加重平均1,004円が示されました。物価高に加え、人手不足に伴う隣接県との人材獲得競争が押し上げの背景にあり、佐賀は目安額に8円上乗せしました。8円は現行方式となった02年度以降で最大です。答申された改定額は、都道府県労働局での関係労使からの異議申出に関する手続を経た上で、都道府県労働局長の決定により、10月1日から10月中旬までの間に順次発効される予定です。

厚生労働省がまとめた地方最低賃金審議会の答申のポイントは以下の通りです。

・47都道府県で、39円~47円の引上げ
(引上げ額が47円は2県、46円は2県、45円は4県、44円は5県、43円は2県、42円は4県、41円は10都府県、40円は17道府県、39円は1県)
・改定額の全国加重平均額は1,004円(昨年度961円)
・全国加重平均額43円の引上げは、昭和53年度に目安制度が始まって以降で最高額
・最高額(1,113円)に対する最低額(893円)の比率は、80.2%(昨年度は79.6%。なお、この比率は9年連続の改善)

最低賃金の引き上げにより、配偶者に扶養されるパートらが、社会保険料の発生する「年収の壁」を超えないよう、就労時間を抑える可能性があり、政府は10月から、手取り収入の減少分を穴埋めした企業を支援する制度を導入する方針です。

参考リンク
都道府県別の「令和5年度 地域別最低賃金 答申状況」
https://www.mhlw.go.jp/content/11302000/001136128.pdf
厚生労働省「全ての都道府県で地域別最低賃金の答申がなされました」
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_34684.html


名古屋自動車学校事件 最高裁判決が公開されました
2023.08.03
定年後に再雇用された際、基本給などの賃金が大幅に減額されたのは不合理な待遇格差だとして、自動車学校に勤めていた嘱託職員2人が定年前との差額分の支給などを学校側に求めた訴訟の上告審判決分が裁判所サイトで公開されました。

本事件は、一審、二審のいずれも、「基本給が定年前の6割を下回るのは不合理な待遇格差である」と判断する中、最高裁がどのような判断を下すかが注目されていました。

このような経過を辿る中、最高裁は、「基本給及び賞与に関する待遇差に関し、原審(第二審)の判断は労働契約法20条の解釈を誤った違法がある」として破棄した上、本件の審理を原審である名古屋高等裁判所に差し戻すという判断を下しました。

原審では、各基本給、賞与・嘱託職員一時金の性質やこれを支給することとされた目的を十分に踏まえておらず、また、労使交渉に関する事情を適切に考慮していないなどというものです。

定年後の再雇用(嘱託社員)を検討する企業は決して少なくありません。今後の動向に注目です。

詳細は以下、ご覧ください。

令和4年(受)第1293号 地位確認等請求事件 令和5年7月20日 第一小法廷判決
https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/208/092208_hanrei.pdf


令和5年度の最低賃金引上げ目安は39~41円 全国平均時給1002円に 過去最大幅
2023.07.31
 厚生労働省の中央最低賃金審議会の小委員会は28日午後、2023年度の最低賃金を全国平均で時給1002円に引き上げる目安をまとめました。物価高騰を背景に、現在の961円から41円の増額で、02年度に現行方式となってから最大の増加幅となります。
 最低賃金は全ての労働者に適用される賃金の下限額。今後は、この目安額を参考にしながら、地方最低賃金審議会での地域の実情を踏まえた審議・答申を得た後、異議申出に関する手続きを経て、都道府県労働局長により各都道府県の地域別最低賃金が決定され、10月ごろから適用されます。

 目安額は昨年度まで、経済状況に応じて都道府県をA-Dの4区分に分け、区分ごとに示していました。23年度からは地域間格差の是正を目的にA-Cの3区分に再編し、今回、Aランクで41円、Bランクで40円、Cランクで39円をそれぞれ引き上げるよう求めました。

 これまでの小委員会で労働者側は大幅引き上げを主張するとともに、最低賃金が最も低い時給853円の10県は47円増の900円にするよう要求していました。経営者側は賃上げの必要性には理解を示しましたが「中小企業が置かれている厳しい経営状況を踏まえるべきだ」と訴えていました。
 最低賃金の引き上げ率は20年度を除き、近年は前年度比で3%程度の上昇でした。政府は6月に閣議決定した経済財政運営の指針「骨太方針」で「今年は時給千円を達成することを含め議論を行う」とされていましたが、その達成は確実となり、次は1,000円達成後の引き上げの方向性についての議論が進められることとなります。

社会保険労務士法人 たじめ事務所 TEL.03-3511-0345(平日 10:00~18:00)アクセス