就業規則・社内制度
2026.03.05
契約社員の契約期間・更新・雇止め――有期契約で見落としやすい確認の時期
契約期間の長さより、確認する時期の管理が大切
■1年、3年、5年と、確認する時期が増えていく

有期契約で気を付けたいのは、契約期間の長さよりも、続けていくうちに確認すべき時期が増えていくことです。雇入れから1年を超えたり3回以上更新したりすれば雇止めの予告が必要になり、3年以上続けば雇止めの伝え方で雇用保険上の扱いが変わり、通算5年を超えれば無期転換の申込みができるようになります。

しかも契約の更新日は社員ごとに違います。人数が増えるほど、誰が、いつ、どの段階にいるのかを把握しておくことが大切になります。

■法律上の上限は3年。でも3年契約はほとんど見ない

契約社員などの有期労働契約は、1回の契約期間を原則として3年まで定めることができます(労働基準法14条)。ただしこれは上限であって、実際の契約期間は3か月、6か月、1年、2年など会社によってさまざまです。一般的な契約社員について3年契約を結ぶ会社は、当事務所の顧問先ではまず見かけません。

ちなみに、「契約社員でも2週間前に言えば辞められる」と思っている方は、社員にも会社にも多いのですが、2週間前の申出で辞められるのは期間の定めのない契約の話です。有期契約は、会社からも社員からも、期間の途中で終えるには原則として「やむを得ない事由」が必要です。ただし1年を超える契約では、社員は1年を過ぎればいつでも退職できます(労働基準法137条)。

契約書に書くことは、期間だけではない
■更新の有無、判断の基準、更新の上限も明示する

有期契約を結ぶときは、契約期間のほかに、更新の有無を「自動的に更新する」「更新する場合があり得る」「契約の更新はしない」などの形で明示します。「更新する場合があり得る」とするなら、勤務成績や能力、契約満了時の業務量、会社の経営状況といった、更新を判断する基準も明示します。

さらに2024年4月からは、契約の締結時と更新時に、更新回数や通算契約期間の上限があるかどうかと、その内容も明示が必要になりました(厚生労働省「2024年4月からの労働条件明示のルール変更」)。最初の契約になかった上限を途中から設けたり、上限を短くしたりする場合は、その理由をあらかじめ本人に説明しなければなりません。上限を設けるなら、採用の時点で決めておくのが基本です。

■「自動更新」は、手間を省くために選ばない

労働条件通知書には「自動的に更新する」という選択肢もありますが、当事務所では勧めていません。「毎回契約書を作る手間を省きたいので、自動更新にできませんか」という相談は実際によく受けます。気持ちは分かりますが、省いた手間は、契約を終えるときにまとめて返ってきます。

更新のたびに判断しない運用を続けると、実質的に無期契約と変わらない、あるいは本人に更新への合理的な期待があった、と判断される方向の事情になります(労働契約法19条)。そうなれば、雇止めには解雇と同じように客観的に合理的な理由が必要になり、契約を終えることが難しくなります。

■実務で使うのは「更新する場合があり得る」

実務では、ほとんどの契約が「更新する場合があり得る」です。ただ、「そう書いてあるから、いつでも雇止めできますよね」と考えるのは早計です。書いてあるだけで、会社が自由に雇止めできるわけではありません。

更新を繰り返してきた経緯や、会社が本人にどう説明してきたかによっては、雇止めに合理的な理由が求められます。契約書に書いた判断基準どおりに、更新のたびに実際に判断していることが大切です。

1年を超えたら、雇止めは30日前までに予告する
■対象は、1年を超えて勤務しているか、3回以上更新している社員

雇入れから1年を超えて継続して勤務している社員や、契約を3回以上更新している社員を雇止めする場合は、契約満了日の30日前までに予告しなければなりません。最初の契約の時点で更新しないことを明示している場合などは除かれます。

これは厚生労働省の告示で定められたもので、会社として守ることが前提の手続です。

■予告したから雇止めできる、ではない

予告がなかったからといって雇止めがそれだけで無効になるわけではありませんが、守らなければ労働基準監督署の指導の対象になり、雇止めが争いになった場合にも会社に不利な事情になり得ます。

逆に、「30日前に伝えたから大丈夫ですよね」と聞かれることもありますが、それは手続を守ったというだけです。その雇止めが認められるかどうかは、別の話です。更新を何度も繰り返してきた、会社が更新を期待させる説明をしてきた、といった事情があれば、雇止めそのものに合理的な理由が必要になります。

予告は手続として必ず行い、雇止めの理由は別に確認する。この二つは分けて考えます。

3年以上続いた社員は、最後の更新の時点で伝える
■30日前の予告だけでは足りない

更新によって3年以上続けて雇用してきた社員が、本人は更新を希望していたのに契約を更新されずに離職すると、雇用保険では原則として特定受給資格者、つまり解雇などと同じ扱いになります。

30日前に予告すれば会社都合の離職にはならない、と考えている会社は少なくありません。しかし、満了の30日前に予告しても、それだけでは扱いは変わりません。ハローワークは、直前の契約を更新した時点で「次回は更新しない」と伝えていたかを確認します。離職証明書にも、直前の契約更新時に雇止めの通知があったかを記入する欄があります。

今回の契約で終えると決めているなら、最後の契約を更新する時点で、その契約が最後であることを契約書に明記し、本人にも説明しておく必要があります。それでも、最終的な離職理由は、それまでの経緯も含めてハローワークが判断します。

■会社にとっても、本人にとっても早く伝える意味がある

雇用関係の助成金の中には、一定期間内に会社都合の離職者がいないことを支給の要件にしているものがあります。特定受給資格者が1人出たからといって、すぐにすべての助成金が受けられなくなるわけではありませんが、影響する可能性はあります。

そして、契約がいつ終わるのかを早く知ることは、本人にとっても次の仕事を準備する時間になります。最後の更新の時点で伝えるのは、会社の都合のためだけではありません。

5年を超えても、自動的に無期契約にはならない
■「申込み」で成立し、2024年からは通知書にも記載される

同じ会社で有期契約が更新され、通算5年を超えると、本人は無期契約への転換を申し込めるようになります(労働契約法18条)。5年たったら自動的に無期契約になる、と勘違いしている方は本当に多いのですが、そうではありません。本人が申し込んで、初めて無期契約が成立します。会社は申込みを断れませんが、申込みがなければ有期契約のまま続きます。

そのうえで、2024年4月からは、無期転換を申し込めるようになる契約を更新するたびに、申し込めることと、無期転換後の労働条件を、労働条件通知書などで明示することが会社に義務付けられました。本人が申し込まずに有期契約を続ける場合も、その後の更新のたびに明示が必要です。通算5年をまたぐ契約を結ぶときは、通知書にこの記載があるかを確認してください。

更新日をそろえて、確認を一度に済ませる
■入社日ごとに更新すると、確認の時期がばらばらになる

入社日から1年の契約をそのまま繰り返していると、4月入社の人は毎年4月、7月入社の人は毎年7月と、更新の時期が社員ごとに分かれていきます。

人数が増えると、気付けば一年中、誰かの更新が来ている状態になり、そのたびに、更新するか、30日前の予告が必要か、3年を超えているか、無期転換の対象かを確認することになります。

■一斉の更新時期を決めておく

そこで、4月など年に1〜2回の時期を一斉の更新時期と決め、更新日をそろえる方法があります。たとえば7月に入社した人は、最初の契約だけ翌年3月末までとし、その後は4月からの契約にそろえます。一斉更新のときに、更新する人、今回を最後にする人、3年や5年を超える人をまとめて確認できるので、確認漏れが起きにくくなります。

そろえるのは、採用時や次の契約を結ぶときにします。結んでいる契約を会社の都合で途中から短くするものではありません。また、1回以上更新して1年を超えて勤務している人の契約を更新するときは、本人の希望などに応じて契約期間をできる限り長くするよう努めることが告示で定められています。時期をそろえるために短い契約を何度も繰り返すのではなく、最初の契約で調整するのが実務的です。

確認の時期は、アプリで一覧にする
■日付で分かることはアプリに、判断は人に

当事務所では、生成AIを使って、有期契約の管理アプリを作りました。契約の開始日や終了日、更新の回数をもとに、次の更新時期、雇止めの予告が必要になる時期、3年や通算5年を迎える社員を一覧にし、対応が必要な社員がすぐ分かるようにしています。この記事で挙げてきた確認の時期を、人が覚えておくのではなく、画面で見える形にしたものです。

ただし、更新するのか、今回で終えるのかは、アプリでは決まりません。これまでの更新の経緯、契約書の内容、本人の希望、会社の方針を見て、人が判断します。日付から機械的に分かることはアプリに任せ、判断に時間を使う。そのための道具です。

顧問先と一緒に使う場合は、誰が閲覧し、誰が更新するのかといった情報の管理も合わせて設計する必要があるため、会社ごとの環境に合わせて導入の形を考えています。

当事務所の生成AIの活用については、「社労士事務所の生成AI活用――期限管理から給与チェックまで、実際に動いている仕組み」でご紹介しています。

契約社員の契約書の見直しや、雇止めのご相談
有期契約の契約書・労働条件通知書の見直し、更新や雇止めの進め方のご相談も承っています。継続的なご相談は「労務顧問」、顧問契約のない会社からのご依頼は「スポット支援業務」をご覧ください。

※本記事は2026年3月時点の法令、厚生労働省の告示・資料、ハローワークの取扱いをもとに整理しています。個別の雇止めの有効性や雇用保険上の離職理由は、契約の内容や更新の経緯、本人の希望などによって判断が異なります。

田治米 洋平
特定社会保険労務士 (全国社会保険労務士会連合会 登録番号13060418)
1980年大阪生まれ。同志社大学卒業。IT企業勤務を経て、2006年たじめ労働法務事務所を創業。2013年青山学院大学大学院修了。「ゲーム開発企業における専門業務型裁量労働制の法的問題と実務的課題」優秀賞受賞。2017年、社会保険労務士法人たじめ事務所へ組織変更、代表社員就任。
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